【方舟は冬の国へ】 西澤保彦

六年勤めた会社を辞め、失業中の十和人は、ハローワークの前で奇妙な男に声をかけられた。仕事を依頼したいという。それは、一カ月の間、別の名前を名乗り、見知らぬ女性と少女との仲のいい三人家族を装って、盗聴器と監視カメラのある家に滞在するというものだった。依頼を受けて滞在を始めた三人に、不思議な現象が起こりはじめる…。(「BOOK」データベースより)



今年ダダハマリした西澤さん。
行きつけの図書館では未読の西澤作品が少なくなり、
タイトルに惹かれないなと思いつつ手に取った本です。


これは西澤作品の中でも異色作ではないでしょうか。
お得意のSF要素や推理する場面もあるのですが、それらはあくまで脇役で、
メインは作家ご本人もおっしゃっている通り、「大人のおとぎ話」。

これはファンの間でも評価が分かれそうな気はしますが、
わたしは好きだなあ。すごくいい。

監視されている中、擬似家族を演じてみせるという設定だけで
一体なぜこんなことを!?とワクワクさせられるし、
ヒロインの理香が西澤作品には珍しい、良い意味で普通で、
それでいて魅力的な女性なのです。
わたしは女だけど、これで惚れない男性はいないのでは?と思うほど。

和人は和人で、仕事とはいえ、
いかに”妻”と寝室を一緒にしないか画策してみたり、
家族のために料理をふるまったり、またいい男なのだ。
ミステリが多少弱いとか、そんなことはもはやどうでもよくなるくらい、
・・・いや、推理部分はもっと少なくても良いからこの家族をずっと見ていたいくらい、
二人のラブロマンスにも大いにときめきました。


読後も切なくて心地よい、不思議な余韻が残り、
気づくと主人公達のその後に思いを馳せてしまいます。

西澤さんのこんな作品、また読みたいなあ。

★★★★☆

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