【幻惑密室】 西澤保彦

「ワンマンで女好きの社長宅で開かれた新年会。招待された男二人と女二人は、気がつけば外に出ることが出来なくなっていた。電話も通じない奇妙な閉じられた空間で、社長の死体が発見される。前代未聞の密室の謎に挑戦する美少女・神麻嗣子(かんおみつぎこ)たち。大人気「チョーモンイン」シリーズ長編第一作、待望の文庫化。(「BOOK」データベースより)



これ、好き。

またまた西澤さんのSFミステリです。
いよいよシリーズ物に手を出してしまいました。
読みたいのが増える一方なのに、どうすんだ。

こちらは刊行順でいうとシリーズ第一作なのだけど、
時系列では「念力密室」という短編の方が先だそうで、地味にややこしい。
そんな事情も一応知ってはいたのですが、
私の通う図書館では「念力密室」が置いていなかったため
おとなしく刊行順で読むことになった次第です。


本作の超能力はハイヒップ(正式名称:ハイパーヒプノティズム)。
テレポーテーションとかストップモーションは聞いたことがあっても、
ハイヒップというのは初耳。
西澤さんが考案されたオリジナルの超能力なのでしょうか。
ようは催眠術の一種で、一定時間強い暗示にかけてしまうというもの。

今まで読んだ西澤作品でも最強の超能力登場かと思ったら、
暗示にかかるのはたった1時間だの、
同時に4個までしかかけられないだの、
同じ暗示には二度とかからないだの、
あいかわらずめんどくさい制約がいっぱい。

それでも、「七回死んだ男」や「瞬間移動死体」、
つい最近読んだ「ナイフが町に降ってくる」みたいに
自分の意思で発動できない超能力とは違って、
自分で操作できるのだから、羨ましくも怖い能力だと思う。


そんな作者らしい設定も面白いのですが、
このシリーズの魅力はなんといってもキャラクターでしょう。
主人公は、売れないミステリ作家、保科さん(男)。
女性陣に振り回され、基本常識人でいい人なのだけど、
女性についてウジウジ悩むところが、ちょっぴり鬱陶しかったりも。

主人公に絡んでくる女子が二名。

三つ編み&袴姿がトレードマークの不思議ちゃんキャラの美少女、神麻さん。
神麻さんは、チョーモンイン(正式名称:超能力者問題秘密対策委員会…長っ!)の見習い相談員。
この表紙の女の子が神麻さんです。
かわいいけど、この表紙はちょっと手に取りづらいよねぇ^^;

それから、仕事もできて、スタイルも抜群の美人警部、能解さん。
漫画的といえるくらいの3人のキャラクター造形のため、
このあたりが好き嫌いが分かれるところかもしれません。
私は3人とも好きですが。

神麻さんは、完全に萌えキャラですね。
ドジっ子で健気で、ペンギンみたいに走って、そこがかわいらしいのだけど、
これが映像だったら、もしかしたら若干イラっとするかも(汗)


そんなこんなで今回も超能力で出られなくなった家で
殺人事件が起こってしまいますが、
超能力で殺したりする訳ではないので
難易度は低めではありますが、今回もちゃんとミステリーしてます。

西澤作品にはお馴染みの、それはそれはいい性格の人も出てきますが、
しっかり成敗されるため、清々しく読み終えました。

主人公の一人称を通じて展開されるジェンダー論は本筋とは関係ないので、
そこだけちょっと気にはなりましたが、うん、面白かった。
これはハマりそうです。

★★★★☆

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