【そして誰もいなくなる】 今邑彩

名門女子校の式典の最中、演劇部による『そして誰もいなくなった』の舞台上で、服毒死する役の生徒が実際に死亡。上演は中断されたが、その後も部員たちが芝居の筋書き通りの順序と手段で殺されていく。次のターゲットは私!?部長の江島小雪は顧問の向坂典子とともに、姿なき犯人に立ち向かうが…。戦慄の本格ミステリー。(「BOOK」データベースより)


そして誰もいなくなる」、読了。
はじめましての作家さんです。

アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」をオマージュした本作品。
先日、本家の「そして誰もいなくなった」を先に読んだのも
この作品のためでもあったり。

いやあ、読んでおいて正解でした。
クリスティの「そして~」を読んでいなくても愉しめるようにはなっており、
後書きで読んでなくても99%は愉しめると書かれていますが、
物語全体を通じての大きな仕掛けを満喫したいなら
断然読んでおくことをおすすめしたいです。
この大仕掛けのお愉しみは1%どころではないんじゃないでしょうか。
個人的には、本作で一番唸ったのがこの大仕掛けでした。

つい最近読んだところなので、本家「そして~」での登場人物の役割と
この作品の登場人物とリンクがしやすく、
そういう意味でもとても入り込みやすかったです。


本の紹介では小雪が主人公のように書いてありますが、
誰が主人公なのか、最後まではっきりしないまま終了。
主役不在の上、登場人物に誰にも好感が持てなかったので、
この人は死なないで~と思うこともなく、どこか淡々と読んでいました。


物語は2転3転し、最後まで一気読みさせられました。
ただ、最後の最後のどんでん返しは少々くどい…というか、蛇足だったような。
確かに鳥肌が立つくらい驚きはしたものの、
このくだりはなくても良かったような気もします。
読者が真相に辿り着きようもない事実でしたし。


これ以降、ネタバレ感想のため反転します↓


向坂先生が犯人なのは中盤から読めましたが、松木はノーマーク。
というか途中から忘れ去っていました。迂闊。
うーん、でも共犯ってあまり好きじゃないかも。
相棒がいれば、なんでもできる気がするんですよねぇ。

スケープゴートの高城は怪しすぎて、逆に怪しくなかった。
もう少し怪しさが控えめだったら疑えたのですが。


最初の恐喝のシーンはずっと気になっていたのですが、
まさかああくるとは。
小雪が皆川をそこまで追い詰めたい理由が理解できなかった。
警察官が人殺しをしたことが許せないという正義感はあるにしても、
なにも強請りをしなくても良かろうに。

さらに言うなら、罪を償うというなら留学はどうなんだろう。
確かにある種の苦労を背負うのはそうだろうけども、
たくさんの人が亡くなったのにお金に苦労することもなく、
ニューヨークにホームステイして罪を償うだなんて・・・
なんかちょっと図々しいものさえ感じてしまったり。

罰を受けたというなら、撃たれて瀕死になった時点でもう十分受けているし、
彼女には皆川のような殺意はなかったから(皆川に対してはあったが)、
負う苦労はそれくらいでも十分すぎるのだろうとも思う。
だけど、それなら「罪を償う」などと弁解しなくてもいいのに、と。

読後感の悪い方には入らないと思いますが、
私には変な後味の悪さを感じてしまいました。
うーん、やっぱり最後のどんでん返しは要らなかったなぁ。
(これがないと全体の大仕掛けは発動しないんですけどね。)
”法で裁けない犯罪”をもっと別の形で表現してくれたら、
なお良かったかな、と思いました。


あともうひとつ、どうしても気になったこと。
ターゲットがはっきり分かってるのに
警察がその人を見張ってないのはいくらなんでもありえない!
3人目まではともかく、4人目以降は確実に防げただろうし、
5人目に至っては家の前で張ってさえいれば犯人逮捕できたし。
警察組織が皆川のように勘が鋭くなくても、
普通に体使って犯人捕まえられるやろーと思ってしまいました。
ま、そんなこと言ったら物語が成り立たないんですけどね^^;



・・・とまあ、不満も書きましたが、
面白くてぐいぐい惹きこまれるのは間違いなし。
読んで損はありません。
どんでん返しに振り回されたい方にもおすすめです。

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