映画  【パレード】
藤原竜也が出演していることもあり、
ずっと気になっていた、映画「パレード」を観ました。
といっても、もう1ヶ月ほど前のことなので、
詳細は薄れつつありますが、思い出しがてら感想を。
吉田修一の原作は未読です。



第15回山本周五郎賞を受賞した吉田修一の小説を、行定勲監督が映画化した青春群像ドラマ。都内のマンションでルームシェアをする4人の男女は、さまざまな不安を抱えつつも怠惰な共同生活を満喫していた。そんな折、男娼のサトルが同居人に加わり…。 同じ町では、連続暴行事件が起きている…。そして彼らの生活はゆっくりと歪みはじめる…。


いやあ、前評判でもちょろっと聞いていましたが、
途中、それも結構最後の方までのゆるゆるな展開から想像がつかないくらい、
最期のシーンにはびっくり。
後からタイトルの意味を考えたときに、なんて怖い話なんだろうと思った。
中途半端なホラーなんかより、これはよっぽど怖いかも。

後味の良い話が好きな人にはお勧めしません。
あと、終盤までかなり淡々としているので、
山あり谷ありの、スリリングな作品を求める人にも向かないと思います。
第60回ベルリン国際映画祭 国際批評家連盟賞を受賞したそうですが、
確かに、ヨーロッパの方で好まれそうな作風です。


中盤まであまりにもゆるく、緩急もほとんどないので、
一緒に見ていた夫は「これって話破綻系?」と途中で首を傾げていたほど。

登場人物は、ある種誰もが病んでいる。
ですが、作品内のキャラクターは極端にしろ、
私含めこれって現代病というか、
そういう部分を持ってる人って多いんじゃなかろうか。

話はやや逸れますが、私、友人と何年かルームシェアしていた経験があります。
当然仲が良くて同居してた訳ですが、
それまでと同じように”仲良し”のままい続けるのは難しい。
仲が悪くなった訳ではないですが(今でも友人です)、
一緒に暮らしていると、だんだん相手に干渉しなくなる。
なんとなく人寂しいときや、地震が起きたときはお互いを頼ったり。
「ただいま」と言うと「おかえり」と返事してくれる人の存在がありがたくて、
居心地が良かったりする。
けれど、やっぱりしんどいときも少なからずあって、
そんなときは耳を塞いだり、家から逃げてみたりもする。
お互い不満があっても伝えるのは面倒で、
だんだん本音をぶつけなくなってくるんですよね。
それが悪いとは今も全く思っていませんが、
その同居期間は、上辺だけの付き合いになっていたのかもしれません。

最近では、全く見ず知らずの若者同士でルームシェアするのが流行ってるようですが、
彼らが何を求めて同居するのか、なんとなくわかるような気もします。
まぁ私はかなりの人見知りなので、友達でもなんでもない人と暮らすなんて
絶対できないだろうな、とは思いますが。


閑話休題。
うーん、何を書いても話の核心に触れてしまいそうなので、反転します~
ここからネタバレありです↓


サトルはあからさまに怪しすぎて、逆に全く通り魔とは思えなかった。
そうなるとこれはもう、直輝しかいないだろうと。
ランニングスタイルのニット帽にジャージ、
客観的に見れば不審者すぎますもん。

犯人当てのミステリではないことは最後にわかるのですが。
話の本質は、誰が通り魔だったかではない。
もっといえば、この中の誰が通り魔でも良かった。

そのことが明らかになった、
サトルの「みんな知ってるんじゃない?」という言葉の後は、
びっくりしすぎて鳥肌がしばらくおさまりませんでした。

ラスト、未来の「直輝も行くよね?」という台詞は、
足並みを外そうとする者は許さないぞ、と言っているようで、
そんなルームメイト達が本当に末恐ろしかった。
逆に、行進中に足並みを揃えている限りは、
その外側でどんなことをしてようが関心がない。
なんで「パレード」なんだろうと思ったら、
そういう意味だったのか・・・。


結局、サトル以外のルームメイトが
直輝の犯行を知っているのかどうか、明らかにされていません。
サトルの言うように、直輝が犯罪者だとわかっていて、
それでも自分達に危害が及ばなかったら別にいいんじゃない?と
あくまで緩い人間関係を維持しようとしているのかもしれない。

あるいは、本当に何も知らなくて、
ラストシーンはただ無邪気に旅行に誘っているだけなのかもしれない。

けれど、何も知らないと仮定してもやっぱりこのお話は怖い。
上辺は笑顔で行進していても、やはり足並みを乱すことを許さないグループなのだ。
それが出来なければ、琴美のいうように
「ここはインターネットのチャットみたいなもの。
 嫌なら出て行けばいいし、居たければ笑っていればいい」ということなんだろう。
一見すると一番まともなサラリーマン、裏では異常な犯罪者である直輝ですが、
このルームシェアの中では、「犯罪者」とはまた違う意味で
異質だったのかもしれないな、と感じた。

「誰もが知っている○○なんていないんじゃない?」という未来の台詞があるけど、
いわれてみればなるほど、そうかもしれない。
Bが思ってるAという人物と、CやDがが知っているAは全く違うのではないか。
みんなが知っている、全く同じAなんて人間はいない。

だけど個人的には、いろんな人の視点によって、
そのAという人が形成されていくのかなぁとも思うんですよね、普通は。
ルームメイト達が、直輝のことをどのように思っているかなんて知りようがない。
彼の内面に誰も触れようとも、関心も示さないから、
直輝という人間が形成されなかったのではないかと思えてきました。

犯罪を知っているかもしれないのに、
何もなかったかのように振舞うメンバーの気味の悪さ。
警察よりも、そんなルームメイト達を恐れる直輝の気持ちが
わかるような気がして、空恐ろく感じました。 


ネタバレここまで~

うわ、今回はいつもにもまして、感想下手すぎだ・・・。
感じたように言葉で表せてません^^;


若手俳優達がそれぞれクオリティが高くて、
イマドキの若者像をすごく上手に演じていたと思います。
私の中でちょっと意外だったのが、貫地谷しほりちゃん。
無職の恋愛依存体質の女子が、妙にリアル。
あぁ、こういう子いるよね~、と思わせる好演技でした。

お目当ての藤原くんは、さすがに並以上の演技はしていたけれど、
映像作品では「遺恨あり」のような時代ものが一番合っているんじゃないかと思いました。
あ、でもバトロワやカイジ(「カイジ2」ももちろん鑑賞済♪)のような
熱い正義漢キャラとは違って、普通のサラリーマンというのも
ファンにとっては美味しかったですけど^^
また藤原くんの舞台が見たくなってきました。


ストーリーは淡々としているし、後味もあまり良くないけれど、
邦画好きな私としては、こういうのも好きでした。
・・・しかし、ハリウッド映画やアニメといった
展開がはっきりしているものを好む夫には淡々としすぎたのか
少々退屈そうだったので、見る人を相当選ぶ作品だろうなぁ、とも思います。

同じ原作者の映画「悪人」もいつか観ようと思っていたのですが、
ますます楽しみになったなぁ。


原作ではどういう風に描かれたのか、気になる。
けど、読みたい本がたくさんあって、当分手を出せそうにない。。


「パレード」は今度舞台化もされるそうですが、こちらはあまり興味がなく・・・
やはり俳優に惹かれるかどうかが、私にとっては大事な要素のようです。

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