【迷路館の殺人】 綾辻 行人
お盆を過ぎた頃、一瞬涼しくなったかと思ったのに、
うだるように暑い8月末です。
まぁ、9月に入っても当たり前のように猛暑日だった
去年の猛暑に比べりゃずいぶんマシではありますが、
35℃近くては、全くやる気が起きません。
ということで読書。読書。

***

館シリーズ3作目、迷路館の殺人 読了しました。


奇怪な迷路の館に集合した四人の作家が、館を舞台にした推理小説の競作を始めたとたん、惨劇が現実に起きた。完全な密室と化した地下の館で発生する連続殺人の不可解さと恐怖。逆転また逆転のスリルを味わった末に読者が到達する驚愕の結末は?気鋭が異色の構成で挑む野心的な長編本格ミステリー。「BOOK」データベースより


この館シリーズは、毎回構成が工夫されていて、
本を広げるのが楽しくて仕方ない。

1作目は本土と島の二元中継、
2作目は過去と現在の二元中継。
そして3作目は作中作。
小説の中に小説がある形態をとっています。

その上、作中作の登場人物が小説を競作したりするもので
作中作中作があったり、その競作の中にも作中作があるので、
作中作中作中作があったり。
実に凝った造りとなっています。
見取り図でも名前負けしていない、ちゃんとした迷路になっていて、
ワクワクさせられます。

怪しげな館に閉じ込められてしまうという、おなじみのクローズドサークル。
十角館や水車館は、孤島じゃなければ住んでみてもいいかなと思えたけど、
この迷路館はないな^^;
隣の部屋に行くにも、迷路の廊下に入らないといけないなんて不便極まりない。
殺人のために作られた館・・・という感じがしないでもありません。

本格っぽい雰囲気は1作目や2作目の方が好みですが、
この作品は早めに事件が起きるので、のめりこむのはこちらの方が早かった。


難易度はかなり高いです。
完全にヤラれました。
というか、ややアンフェアに思えたのだけど、
作中作の小説を作った目的から考えると、
それも仕方ないのかもしれないなと、一応納得することにしました。


これ以下ネタバレあるため、反転します↓↓


作中作内での犯人は序盤でわかったのはもちろん、
<メディア>の部屋への誘導トリックや、
部屋への出入りの方法、見立ての小説が後付けであることまで気づけたので、
もしや自分がミステリ慣れしたのかと思いかけたんですが、
これはとんだ勘違いでした。

加えて、老作家には共犯がいて、それは桂子であると考えていました。
最後でも語られていたけど、老体で、かつ館内を自由に動き回れない人が
一人で犯行を重ねるのはかなり大変だろうと思ったから。
単なる還暦パーティならともかく、サプライズとはいえ狂言自殺を行う場で、
完全なる部外者で、しかも妊娠中の桂子を招く理由がないから。
妊婦さんには強いショックを与えかねず、
編集者の妻で妊婦という、桂子のポジションに違和感を感じたのです。

首切りの論理で、現場に残した犯人の血痕は、桂子の不正出血だったのではないかと推理。
そのために妊婦という、ある種特殊な属性の登場人物にしたのかと思ったのです。
まどか襲撃の後、呼びに行った桂子がすぐに出てこなかったのも、
秘密の通路から自室に戻ってくるのに、時間がかかったんだろうと勘ぐっていました。

なので、まさかあの人が女性だという、
後から読み返しても納得のいかない事実が
どんでん返しとして出てきたので、びっくり!
「若い頃は美青年で通用した~」という表現だけでは、
伏線としてはかなり厳しいなぁ。。
「智生」という名前も、私には男性の名前にしか思えなかった。
例えば「あきら」とかだったら納得できるんですが。
まぁ、確かに男性だとはどこにも書いていないので、
勝手に想像してしまった時点で、もう罠にはまったということですかね^^;

殺人を犯した精神的ストレスから、予定外の生理が起こり得るのと同様に
妊婦さんの不正出血だって疑われてもおかしくないだろうに、
そこはあっさり否定されたのは、ちょっと納得がいかなかったな。

もうひとつ、意味ありげに出てきた
宮垣葉太郎の意向である”ペンネームではなく本名で呼び合う”という習慣。
意味ありげに書かれていたのに、特に何にも使われなかったのは残念でした。

事件に関係ないですが、作者の正体にまつわる叙述トリックは良かった。
こちらは気持ち良く騙されました。
二度に渡る「たかがミステリ」という表現から
鹿谷門実は犯人でもある宮垣葉太郎だろうと思っていました。
館シリーズは順番に読んだ方が良いといわれるのは、そういうことだったのか。


だんだんキャラ立ちしてきた探偵・島田潔ですが、
深刻な事態の中でも謎解きを楽しんでいるような雰囲気があって、
事件を解決しようとはしても、防ぐ努力は見せないし(そういう探偵多いですが)、
探偵役だというのに、ちょっと苦手なキャラです。
37歳にもなってもブラブラしていて、ほぼ無職。
普通に登場人物目線で考えたら、ダントツで怪しいのは島田ではないかと^^;


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この記事のコメント
NoTitle
こゆりすさんの本レビュー、毎回楽しみにしてます^^
私じゃこんなにちゃんと書けない!し、毎回「すごいなー!」です。

これ、ちゃんと中に本の形が作られてて、楽しいですよね♪
私は逆に、こゆりすさんの疑われたことに思い至らなかったので、
じゃあ、・・・と注意したらどんどん犯人が疑えてきたんですが、
確かにそっちの可能性をちゃんと消しておいてくれたらよかったのかもしれませんねー。
>普通に登場人物目線で考えたら、ダントツで怪しいのは島田
これ、考えたこともなかった!笑

次は人形館ですね。
こゆりすさんが人形館を何て書かれるか、ちょっと楽しみかも。
2011-08-30 Tue 10:43 | URL | みかん #AsQ122z2 [内容変更]
みかんさん
えええー、全然ちゃんと書けてないですよ~汗
「秘密」の感想書けないのも、文才ないのが原因だったりするし^^;

みかんさんは自力でちゃんと真犯人に辿り着いたのですね!
これ、かなり難易度高いと思うのに、すごいなぁ。
あの件に関して、ヒントが無さすぎたのがちょっとひっかかりはしたけど、
総合的にはかなり面白かったので、満足です^^

島田がレギュラーキャラって知らなかったら、読者でも疑ってしまうかも^^;
だって他のメンツは知人ばかりなのに、殺人が起きたときに限って
一人だけ知らない人がいて、しかも怪しげなオーラ漂いまくりじゃないですか。苦笑
私なら絶対島田が犯人に違いないから、皆で監視しようって提案するかも^^;

人形館、噂では他の館シリーズと雰囲気が違うそうですね。
まだ数ページしか読んでいないのだけど、楽しみです♪
2011-08-30 Tue 19:20 | URL | こゆりす #- [内容変更]
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