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【丕緒の鳥】 小野 不由美

こゆりす


「希望」を信じて、男は覚悟する。慶国に新王が登極した。即位の礼で行われる「大射」とは、鳥に見立てた陶製の的を射る儀式。陶工である丕緒は、国の理想を表す任の重さに苦慮していた。希望を託した「鳥」は、果たして大空に羽ばたくのだろうか―表題作ほか、己の役割を全うすべく煩悶し、一途に走る名も無き男たちの清廉なる生き様を描く全4編収録。

丕緒の鳥/落照の獄/青条の蘭/風信(「BOOK」データベースより)




十二国記の最新作!
…って、これ読み終えたのは一年近く前なのだけども^^;
読み終えるのが惜しくて、ちびりちびり舐めるように
数ヶ月かけて読みました。

これまでのシリーズは、
王や麒麟といった、国の中心的な人物目線で描かれてきましたが、
こちらは民や下級官のお話。
国の行方を変えられる立場になく、
しかも荒れると真っ先に影響を受けるのが民。
どれもずしりと堪えました。


どの話も印象的でしたが、表題作の「丕緒の鳥」に一番ぐっときました。
この巻ではこれまで出てきた登場人物はほとんど出てきませんが、
「丕緒の鳥」の最後にちらっと出るくるあの人に目が潤みました。
やっぱり、あの人はあの人だった。
そして、最後の儀式の美しいことときたら!
なんで言葉だけであんなにきれいなものが描けるんだろう。

「青条の蘭」はあの豊かな雁国が荒れていた時代の話。
民の思いが希望になり、あの人につながる。

「風信」も「丕緒の鳥」と同じく慶国の王の変わりめの頃のお話。
女性追放令は私の想像以上に過酷だった模様。
大変な時代ながら、登場人物に癒されました。

「落照の獄」は司法官が主役で、死刑制度の是非を問う物語。
判決がどちらに転んでも苦い結末。
この中でも救いがなく、一番辛い物語でした。


おなじみの王や麒麟が出てこず、民が主役の短編と聞いて
あまり気乗りしなかったのですが、読んで良かった!
どれも胸にずしりと残る、短編揃いでした。

泰麒がその後が気になって気になって、
ずっと十二国記の新刊が出るのを待っているのですが、
小野さんの体調不良はまだ続いているのでしょうか…。


★★★★★



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Posted byこゆりす

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