【東京島】 桐野 夏生
ようやく読み終わりました、東京島。
数ページ読んでは、中断。
読み終えるのに、2ヶ月以上かかりました。




[あらすじ]
清子は、暴風雨により、孤島に流れついた。夫との酔狂な世界一周クルーズの最中のこと。その後、日本の若者、謎めいた中国人が漂着する。三十一人、その全てが男だ。救出の見込みは依然なく、夫・隆も喪った。だが、たったひとりの女には違いない。求められ争われ、清子は女王の悦びに震える-。東京島と名づけられた小宇宙に産み落とされた、新たな創世紀。谷崎潤一郎賞受賞作。




ひとことで言うと、読むのがしんどかった。

男31人、女1人の無人島。
普通に考えたら暴力的なことになるかと思いきや、
たった一人の女性は島の女王として君臨する-。

この設定に強く興味を挽きつけられたのですが、
実際読み始めると、最後の最後まで続きが気になることもなく、読了。
いつか面白くなるかもしれない、と思ったが、最後まで入りきれず。
これだけ読むのに時間がかかった本も久しぶり。
途中から、別の本に浮気したい衝動を堪えるのが大変でした。

主人公にこれほど嫌悪感を感じる作品も、珍しいかもしれない。
でも、それ自体は構わないと思う。
主人公が必ずしも共感されたり、良い人物である必要はなく、
嫌というほどしたたかで、自分勝手であっても良いと思うのです。
しかし、他に数十人と登場人物がいるにも関わらず、
誰一人として共感できない。
どうやら私、誰かに共感しないと話に入りこめない性分のようで、
これがどうも致命的に面白く読めなかった理由です。

「あくまでこれは作り話で、現実にはありえない話だ」と妙に冷めたまま、
とにかく最後まで読まねば…という、半ば義務感のみで読み続けました。
言動にリアリティがなく、感情移入も同情もできないまま
あっけなく終わってしまったという印象です。


この話、作者の創った設定かと思いきや、他所のレビューを見てると
アナタハンの女王事件(←ググると出てきます)をモデルにしてるんですね。
現実に起こった事件に、興味深いというのは適切ではありませんが、
「事実は小説よりも奇なり」とはこういうことなのか、と驚きました。

リアリティがないと感じたひとつに、
40代後半、風貌の冴えない女性を巡り、
彼女の子供程の年齢の男性が奪い合い、狂っていく…という件があるのすが、
実際の事件では若い女性だった、といわれれば少しわかるような気もします。
それを含めても、凄い話だとは思うけれど。

同じ状況になったら、どうだろう?
人間なら、多かれ少なかれ黒いところはあるだろうし、
生き残るために、普通の状態では絶対しないこともするでしょう。
だけど、これほどまでにしたたかに、強く生きられるだろうか。
生と性に執着して、自分の体を最大限武器にする。
状況をみて、すりよったり、口汚くなじったり、
かつて愛した夫を裏切ることも厭わない。
そんな自分の身勝手さを、どこまでも自己正当化する。
この主人公の性格が特殊なのか、
極限状態に置かれれば、これほどまでに逞しく生きられるのが女性なのか。。

以下ネタばれなので、反転します↓
最初から最後まで、吐き気がするほど嫌悪感漂う主人公でしたが、
ラスト、帰国した清子が、島に関わるのを避け、
血の繋がった息子でさえも助けようとしなかったことが、何より不愉快だった。
いやしかし、ここまで徹底した保身こそ、彼女らしいといえるのか。。
妊娠中、お腹の子に対する母性は皆無だったけど、
娘に対する愛情は芽生えたと考えていいのかな。

誰にも共感できなかったけど、嫌われ者のワタナベが
真っ先に生還した成り行きだけは、唯一面白いと思った。


いや、それより胃腸虚弱な私(それ以外は至って丈夫なのに!)・・・、
無人島では真っ先に衰弱しそうだ。。

ここで出てくるカタカナの地名に最後まで慣れることができず、
性描写はともかく、排泄表現がなんとも気分が悪くて、
あまり性に合わない作品だったようです。


***

今日からGWですね。
今年は10連休のところもあるとか。
我が家は、夫が連休の半分が休日出勤になり、
日帰りで祖母のところへ行く以外、大して予定もないので、
映画でも見に行ってこようかなと思ってます。
と思って、GWの上映を調べてみたら、唯一観たいのは「八日目の蝉」。
原作の評判が良いので、本当は原作を先に読みたかったのですが、
未読の本が山積みで、またもや映画が先になりそうです。
原作が良作であるほど、映像化すると不満が出てくるものなので、
先に映画を観るのが正解なのかも?


にほんブログ村 美容ブログ 手作りコスメへ にほんブログ村 ハンドメイドブログ 手づくり石けんへ
別窓 | 映画・小説レビュー | コメント:4 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
| シンプルにいこう。 | NEXT